会長挨拶

会長写真 大学等環境安全協議会の
第8期会長就任にあたって
京都大学
酒井 伸一

 大学等環境安全協議会(大環協)の第8期の代表を務めさせていただくにあたり、ご挨拶と運営方針をお伝えさせていただきます。本協議会は1979年に設立された「国立大学廃液処理施設連絡会」に遡れば35年以上の歴史を有するわけですが、この協議会のお手伝いをさせて頂くことは名誉であると同時に、非常に強い想いをもって運営されてきた諸先輩の足跡をみれば、どのようにお役に立つことができるか、相当の重みを感じているところです。
 第7期会長の山田教授を引き継いでの運営として継続・発展させるべき事業に、論文誌「環境と安全」があります。2010年の創刊後、現在は年に3回発刊、うち1回は英文誌を発刊しており、電子版はJ-STAGEで公開されています。この論文誌を発刊することが具体化するに至った経緯は、三浦会長時代に、技術職員の方々を含めた論文発表の機会を用意すること、学術誌としての意見交換のプラットホームを用意することが本協議会全体の活性化に繋がるとのご提案があったことであると認識しています。つまり、大学等における環境保全施設業務、学生や教職員の安全衛生管理業務といった日常業務を有する教職員を中心とした協議会であるがゆえに、日々の情報交換機能に加えて、しっかりした学術基盤をもった意見交換機能をもつことが望ましいという見方が基本にあったと理解しています。ACSEL (Asian Conference on Safety and Education in Laboratory) として、アジア地域の研究機関の環境安全分野における国際会議構想も進行しており、2014年には東京大学で本協議会の共催で開催されました。2015年の第2回はインドネシアでの開催が準備されていますが、このプロシーディングス公開的な機能も「環境と安全」は有しています。本ジャーナルは、担当の先生方の献身的な編集作業で維持されていることを、お伝えしておかねばなりません。この「環境と安全」は、本協議会のジャーナル共同体としての学会的機能といえます。
 一方、大環協が有する本来的な役割に、実務的情報交換があります。実務に携わる関係者の集団として発足したという経緯もあり、非常に重要な役割の一つです。学会的機能とともに大切に維持しつつ、課題に拠っては本質的により重視せねばならない機能といえます。年1回の総会・研修会と年1回の技術分科会を、それぞれ大学の持ち回りで開催していることは、この実務者間の交流を促し、共助共働意識を醸成していることに繋がっているとみています。大学等において大環協が関係する業務に技術的または事務的に直接携わる者を中心とした職員等(実務者)の間の資質向上をはかることを目的とした実務者連絡会を別組織として独立的に運営していることも、この組織の大きな特徴です。別組織運営としつつも、相互の知見の共有を図る努力は不断に続けられている場面を多く目にしてきました。
 この実務的情報交換機能と学会的機能の中間的な役割に位置付けられる事業に、研究プロジェクトがあります。年10課題程度の研究プロジェクトを公募、実施、成果公開してきています。大規模災害への対応や安全衛生環境のリスクアセスメントなど大学が直面するその時々の課題や実務的ツールの開発と共有といった多様なテーマに取り組んでいます。決して潤沢とはいえない予算で、自律的自主的な課題設定によって研究遂行し、その成果を共有するシステムが根付きつつあることを非常に嬉しくみています。
 今、述べてきた大環協の機能を維持し、また発展する方向を伸ばしていくためには、本協議会の組織的な模索も続けていかねばなりません。その試みのいくつかをご紹介しておきます。第8期発足時には、前会長の山田教授には理事として再度勤めて頂くことをお願いし、現在では編集委員長役としての指示をいただいています。実務者連絡会でも研究プロジェクトを独立して実施するようになり、相互のプログラムの交流をより深める運営となりつつあります。3名の女性理事に就任いただいていることも特筆できる体制といえるでしょう。今後、重点をおくべき方向性として、参加型のアプローチがより活発でより容易になる方向、より支援を受けやすい協議会としながら支援側も受援側とも実り多い果実を獲得できる広報の方向を模索せねばなりません。ちなみに、2015年5月の会員数は、団体会員:94団体、個人会員:111名、賛助会員:49機関です。より協議会の懐を深くし、より安定的な運営とするためには、より多くの多様な方々の参画があっていいと思っています。改めて、よろしくお願い申し上げます。